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2022-03-17 12:45:09

牛田智大さんのリサイタルに行きました(長文です。。)

 

2022年3月5日、牛田智大(うしだともはる)さんの

ピアノリサイタルに行ってきました。

 

 

感動と興奮冷めやらぬうちに、と思っていましたが

なんやかんやで10日以上も経ってしまいました。。

 

直後に書き留めたメモを参考に、あらためて書いています。

 

さすがの牛田さん、ほぼ満席でした。

どこからこんなに海老名に来るんだろ、というくらい。

 

こんなにもピアノ好き、クラシック好き、

そして牛田さんファンがいらっしゃるのですね!

 

さて、私ごときが語るものではないのですが、

記録として書こうと思います。

 

今回はオールショパンプログラム

 

1曲目、ノクターンOp27-2から。

 

椅子に座って演奏を始めるモーションに入るも、

手を止めて手首のあたりを動かすというか

一度仕切り直して演奏スタートされました。

 

な~~~んとなめらかな音の運びなのでしょう・・・。

 

たっぷり歌われ、もちろんくどくもないしもたつきもしない。

なんて自然な流れなのでしょう~。

 

多彩な音色はもちろんのこと、pppからffまでの段階が見事です。

何重にも音量段階の層があって、どうやってその音作ってんの~!!

と聞きたい。。

 

そしてこれは私のホントに主観的な感想ですが、

1曲ごとのダイナミクスではなく、

プログラム全体を通して音量の幅を計算したのか?と思わせました。

 

それは、最終曲の「幻想ポロネーズ」でこれまでにない

ホールに鳴り響く ff (最強音)を感じました。

 

ほかの曲にも f や ff  はあるんです。

 

後ろのお客様もちょっと休憩時間におっしゃってたけど、

(聞き耳たてました)

 

「ショパンだって怒ることやカチンとくることあるでしょ」

 

・・・前後の内容を踏まえて説明しますと、

 

たいてい盛り上がってガツンと来そうな音が

そうではなくて柔らかかったり、大きくない(と感じる)音だったので

ちょっと物足りなさを感じた

 

・・・というような話でした。

 

おっしゃることもわかるのですが、

そういうショパンじゃないんだな~、

きっと、牛田さんのショパンは。

 

その曲の内容や表現にあった音を出されている、

というのがしっかり伝わったので、(私はね)

この表現なのね、と納得。

 

ホールとピアノとの関係も大いにありますが、

私もここのホールは、ちょっと音がこちらに届きにくいのかな?

と感じてしまいます。

ただ、大ホールなのでそんなもんかな、とも。

 

しかし、それを覆したのが、最後の「幻ポロ」でした。

 

「こんなにこのピアノ、音でるじゃん」

 

こちらの耳が2時間かけて慣れてきたのかもだし、

ピアノも2時間かけて変化しますし。

 

それをすべてわかっての奏者のコントロールだと思いました。

 

前半後半ともに、曲間は立たず、拍手も入らず

全部演奏されました。

 

前半1曲目ノクターン以外です。

 

1曲目6~7分くらいのノクターンを弾き終えたところで

一旦退場されました。

 

「あれ?ここで退場なのか。

ということは、ほかの曲も結構頻繁に入退場するのかな?」

 

そういう思いは浅はかでした。

 

この1曲目の後の退場について

牛田さんがインスタライブでおっしゃってたのは、

 

「開場時間に遅れてこられるお客様もいるので、

(弾き続けるとずっと入れないから)

1曲の後は引っ込むことにしている」

 

な、なんと、私たち来場者のことを考えての

行動だったのだと知りました。

なんて、神!✨

 

その後を退場なしで弾くスタイルだからなおさらなんですね。

 

 

そして、鳴りやまぬ拍手👏👏に応えて演奏されたのが、

ショパンピアノソナタ第2番の第3楽章〈葬送〉

 

「こ、これアンコールで弾くの?!」

 

とちょっと驚きました。

 

そのまま4楽章も弾いてほしい!ってくらい

やめてほしくなかったです。

 

そのあとマイクを取っての御挨拶。

 

その中で、今回のプログラム構成についても言及。

 

アンコールの〈葬送〉までで完結する、という内容でした。

 

な・な・なるほど!

 

だからこの選曲よねっ♪

と腑に落ちたのでした。

 

「生」と「死」のはなし。

〈葬送〉はB(シの♭)Des(レの♭)の2音を

行き交うのですが、

これには B=Birth、 D=Death

という意味合いがあって、

最後の音はBなのです。

曲は主調のB♭短調で暗く終わるのですが、

込められたメッセージとしては

Bの【Birth】を選んだ、ということになるそうです。

 

ほ~~、知らんかった。。。

 

そして昨今の世界情勢もあり、

牛田さんにとってもこのデビュー10周年の公演プログラムには

深い思い入れがあるのだと知りました。

 

そのあと3曲もアンコール再び。

リストの「愛の夢第3番」

シューマン=リスト「献呈」

シューマン「トロイメライ」

 

どれも平和への祈りを感じさせる選曲と感じました。

 

 

今回のこのプログラム内の曲が

私にとってはどれも興味深い曲で、

「マイブーム」というのか、、。

ちょっと言葉が見当たらないのですが、、。

 

〈舟歌〉を近々演奏会で弾くので、

それもあって今回のリサイタルは行きたかったのですが、

勉強している間にこれまで遠ざけていた〈幻想ポロネーズ〉にも

最近興味が湧いてきたし、

結構長くぼちぼち練習している〈幻想曲〉も、

最近始めた〈ノクターンOp.27-2〉や(これもあまり好きではなかった)

はるか昔のコンクールで苦戦したマズルカなど、

とても身近に感じる作品ばかりで、

 

1mmでもいいから願わくば牛田さんの演奏に近づけたら、

という思いで必死に耳をダンボ👂🐘👂

にして聞き入りました。

 

惜しくも2次予選までの出場となったショパンコンクール2020、

YouTubeでしか聞けませんが、

その時とは違う、さらに磨きがかかった牛田さんのショパンは

ほんとうに素晴らしかったです。

そしてやはり、生音にかぎる!!

 

1音1音が鮮明でありながら、

旋律として連なったとき、

和音としてまとまったとき、

旋律と伴奏、または複声部で多重になったときでも

音はぼやけないのに決してぶつかり合わず、

溶け合っているのです。

 

とにかく、すべて考えられてコントロールして

作り出されたものであるのは間違いないことだけど、

それがわざとらしさのかけらもなく、

ショパン作品に向き合って芯を深く掴んだ演奏、

と感じました。

 

あ、牛田さんンのインスタライブも必見です。

 

有料級に素敵なお話と演奏が聴けます。

ファンにとっては嬉しい限りですね。

 

これからも牛田智大さんの演奏会に

足を運びたいと思います。

 

 

 

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