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牛田智大さんのリサイタルに行きました(長文です。。)
2022年3月5日、牛田智大(うしだともはる)さんの
ピアノリサイタルに行ってきました。
感動と興奮冷めやらぬうちに、と思っていましたが
なんやかんやで10日以上も経ってしまいました。。
直後に書き留めたメモを参考に、あらためて書いています。
さすがの牛田さん、ほぼ満席でした。
どこからこんなに海老名に来るんだろ、というくらい。
こんなにもピアノ好き、クラシック好き、
そして牛田さんファンがいらっしゃるのですね!
さて、私ごときが語るものではないのですが、
記録として書こうと思います。
今回はオールショパンプログラム。
1曲目、ノクターンOp27-2から。
椅子に座って演奏を始めるモーションに入るも、
手を止めて手首のあたりを動かすというか
一度仕切り直して演奏スタートされました。
な~~~んとなめらかな音の運びなのでしょう・・・。
たっぷり歌われ、もちろんくどくもないしもたつきもしない。
なんて自然な流れなのでしょう~。
多彩な音色はもちろんのこと、pppからffまでの段階が見事です。
何重にも音量段階の層があって、どうやってその音作ってんの~!!
と聞きたい。。
そしてこれは私のホントに主観的な感想ですが、
1曲ごとのダイナミクスではなく、
プログラム全体を通して音量の幅を計算したのか?と思わせました。
それは、最終曲の「幻想ポロネーズ」でこれまでにない
ホールに鳴り響く ff (最強音)を感じました。
ほかの曲にも f や ff はあるんです。
後ろのお客様もちょっと休憩時間におっしゃってたけど、
(聞き耳たてました)
「ショパンだって怒ることやカチンとくることあるでしょ」
・・・前後の内容を踏まえて説明しますと、
たいてい盛り上がってガツンと来そうな音が
そうではなくて柔らかかったり、大きくない(と感じる)音だったので
ちょっと物足りなさを感じた
・・・というような話でした。
おっしゃることもわかるのですが、
そういうショパンじゃないんだな~、
きっと、牛田さんのショパンは。
その曲の内容や表現にあった音を出されている、
というのがしっかり伝わったので、(私はね)
この表現なのね、と納得。
ホールとピアノとの関係も大いにありますが、
私もここのホールは、ちょっと音がこちらに届きにくいのかな?
と感じてしまいます。
ただ、大ホールなのでそんなもんかな、とも。
しかし、それを覆したのが、最後の「幻ポロ」でした。
「こんなにこのピアノ、音でるじゃん」
こちらの耳が2時間かけて慣れてきたのかもだし、
ピアノも2時間かけて変化しますし。
それをすべてわかっての奏者のコントロールだと思いました。
前半後半ともに、曲間は立たず、拍手も入らず
全部演奏されました。
前半1曲目ノクターン以外です。
1曲目6~7分くらいのノクターンを弾き終えたところで
一旦退場されました。
「あれ?ここで退場なのか。
ということは、ほかの曲も結構頻繁に入退場するのかな?」
そういう思いは浅はかでした。
この1曲目の後の退場について
牛田さんがインスタライブでおっしゃってたのは、
「開場時間に遅れてこられるお客様もいるので、
(弾き続けるとずっと入れないから)
1曲の後は引っ込むことにしている」
な、なんと、私たち来場者のことを考えての
行動だったのだと知りました。
なんて、神!✨
その後を退場なしで弾くスタイルだからなおさらなんですね。
そして、鳴りやまぬ拍手👏👏に応えて演奏されたのが、
ショパンピアノソナタ第2番の第3楽章〈葬送〉
「こ、これアンコールで弾くの?!」
とちょっと驚きました。
そのまま4楽章も弾いてほしい!ってくらい
やめてほしくなかったです。
そのあとマイクを取っての御挨拶。
その中で、今回のプログラム構成についても言及。
アンコールの〈葬送〉までで完結する、という内容でした。
な・な・なるほど!
だからこの選曲よねっ♪
と腑に落ちたのでした。
「生」と「死」のはなし。
〈葬送〉はB(シの♭)とDes(レの♭)の2音を
行き交うのですが、
これには B=Birth、 D=Death
という意味合いがあって、
最後の音はBなのです。
曲は主調のB♭短調で暗く終わるのですが、
込められたメッセージとしては
Bの【Birth】を選んだ、ということになるそうです。
ほ~~、知らんかった。。。
そして昨今の世界情勢もあり、
牛田さんにとってもこのデビュー10周年の公演プログラムには
深い思い入れがあるのだと知りました。
そのあと3曲もアンコール再び。
リストの「愛の夢第3番」
シューマン=リスト「献呈」
シューマン「トロイメライ」
どれも平和への祈りを感じさせる選曲と感じました。
今回のこのプログラム内の曲が
私にとってはどれも興味深い曲で、
「マイブーム」というのか、、。
ちょっと言葉が見当たらないのですが、、。
〈舟歌〉を近々演奏会で弾くので、
それもあって今回のリサイタルは行きたかったのですが、
勉強している間にこれまで遠ざけていた〈幻想ポロネーズ〉にも
最近興味が湧いてきたし、
結構長くぼちぼち練習している〈幻想曲〉も、
最近始めた〈ノクターンOp.27-2〉や(これもあまり好きではなかった)
はるか昔のコンクールで苦戦したマズルカなど、
とても身近に感じる作品ばかりで、
1mmでもいいから願わくば牛田さんの演奏に近づけたら、
という思いで必死に耳をダンボ👂🐘👂
にして聞き入りました。
惜しくも2次予選までの出場となったショパンコンクール2020、
YouTubeでしか聞けませんが、
その時とは違う、さらに磨きがかかった牛田さんのショパンは
ほんとうに素晴らしかったです。
そしてやはり、生音にかぎる!!
1音1音が鮮明でありながら、
旋律として連なったとき、
和音としてまとまったとき、
旋律と伴奏、または複声部で多重になったときでも
音はぼやけないのに決してぶつかり合わず、
溶け合っているのです。
とにかく、すべて考えられてコントロールして
作り出されたものであるのは間違いないことだけど、
それがわざとらしさのかけらもなく、
ショパン作品に向き合って芯を深く掴んだ演奏、
と感じました。
あ、牛田さんンのインスタライブも必見です。
有料級に素敵なお話と演奏が聴けます。
ファンにとっては嬉しい限りですね。
これからも牛田智大さんの演奏会に
足を運びたいと思います。
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