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上達の鍵は「耳」にあり
今日のレッスンで感じたことを書きたいと思います。
今日だけではなく、常日頃感じている事でもあります。
(長文です・・・。)
それは、、
「ピアノ」で練習してほしい、
ということです。
電子ピアノではありません。
生の楽器、アップライトピアノやグランドピアノのことです。
ピアノは高価ですし、住宅環境も考慮しなくてはいけないのは
重々承知しています。
「ピアノを絶対に買わなくてはいけない」と敷居を高くしたくもありません。
私は最初に、中古で構わないのでアップライトピアノの購入を検討してください、
と、必ず申し上げます。
しかし、先に言いました様々な事情があることも承知していますので、電子ピアノを購入されたからと言って、文句や批判は決して申しません。
が、今回は敢えて書きます。
ピアノは音を出すのに打鍵します。(鍵盤を下げる、沈める)
不自然な形や力みのある使い方では、うまく打鍵できないので
打鍵の仕方を手、指、腕、体の使い方、フォーム(手の形)など
見てわかるところからの改善を試みます。
しかし、本質を認識できないといつまでも直りません。
なぜ、そういう使い方をアドバイスするのか、です。
それは音楽的表現を実現するためのテクニックだからです。
それを体得すれば、本当に素敵な世界が待っているのです!!
(言葉で表すのは難しいのてすが、、。)
私はそう信じて指導させて頂いています。
使い方で音は変わるし、
欲しい音を出そうと思えば、自然と適切な使い方になります。
レッスンでは直ります。
そして翌週はまた戻っています。
その繰り返しでいいのです。
これを根気強く、
両手で弾けるようになってきた生徒たちには
これをほぼ毎回指摘するところです。
しかし、いくら外見的なところをアドバイスしても
弾いた音の良し悪しがわからなければ、
気付けません。
大切なのは「耳」を訓練していくのです。
例えば今日の「スタッカート」表現。
スタッカート=その音を半分の長さにする
のですが、曲によってその表情は様々です。
とても鋭くも、柔らかくも、固くもできます。
課題の曲中は、どういう表現が適当なのかをイメージします。
私がいくつか弾いて、聴き比べをして
どれが合うか選んでもらったりします。
その音を出すためにはどうするのか。
例えば指先を意識して早く離したり、
打鍵の速度を変えたり
指だけで切ったり
手首をふわっと上げたり、
そのいくつかを組み合わせたりしてみます。
試す度に、今のは良いかそうでないか、
イメージに近いか、粒はそろっているか、など。
生徒に尋ねると、それはとてもよく分析して答えてくれました。
「ちょっと重かった」、
「音が抜けた」、
「けっこうよかった」など
意外と厳しめに、でも客観的に聴けていて、とても素晴らしいと思いました。
そして、最初の4小節を何度か弾くうち、
あっという間に、生き生きとした表現ができました♪
そこから、ピアノはどのように音が出るのか、を話しました。
グランドピアノで内部を(見える範囲で)見ながら説明すると
その構造もよく理解してくれました。
私のデモストレーションで、同じ人でも弾き方によって
色々な音が出せる事、
弾く人が違えばなおさら音は違うこと、
一人一人が自分の音を持っている事、にも気づいてくれました。
なんと敏感で素晴らしい感性なのでしょう!
そして生徒が言いました。
「うちのピアノは、猫が鍵盤の上を歩いたときも出たらめに弾いたときも、同じ音がした。」と。
・・・(笑)🐈
出たらめ(ランダム)に弾いた音でも、おそらくそれなりに弾いたときでも
大して音が変わらない、ということを言ったのです。
そうです。。
この生徒はとても耳の感度がよいのですが、
自宅練習は電子ピアノです。
電子ピアノでの練習は、
自分の音に対して無頓着になってしまうと思っています。
極端な話、
ずれていても、
スタッカートが切れてなくても、
レガートがつながっていなくても。。。
楽譜にある音が弾けていればOKとなりかねません。
今日はこんなにも素敵に表現ができて、
本人も手ごたえがあったのに、
自宅でそれを再現できないのは、
なんとも惜しいことだと感じます。
電子ピアノは狂いがなく、サンプリングされた良い音が出ますが、
弾き手の微細な変化には応じてくれません。
打鍵による強弱はつくと思いますが、(それすらつかない機種もあります)
打鍵の反応はアコースティックピアノに太刀打ちできません。
だから、耳の成長を閉ざしている、
ひいてはピアノの上達を停滞させる、と私は考えています。
習い始めて間もない子供たちに、自分の音をよく聴いて
使い方を改善するのは難しいことかもしれませんが、
聴く習慣と判断力が備わっていけば、徐々に変わります。
かくいう私も、聴いているようで聴けていませんでした。
しかし、先生方の根気強いご指導のおかげで
段々「聴く」という意識が芽生えてきました。
いまだに弾きながら聴けているかというと
完ぺきではありませんが、いつもその努力はしています。
今日の生徒だけでなく、私の生徒たち、
いや、生徒に限らず、多くの子供たちはとてもよい耳をもっています。
(低年齢であればあるほど)
ピアノ教室のレッスンとしては、
そのよい「耳」を訓練と経験によって
より良く、感度を上げていきたいと常々思っています。
これがピアノ上達の鍵だと思っています。
最後までお読み頂きありがとうございます。
可能性のある生徒たちの成長を日々感じるが故、
もどかしい気持ちを正直に書きました。
電子ピアノのメリットもたくさんあります。
決して安価なものとも思っていません。
昨今の電子ピアノ(ある一定の価格以上のもの)は、アコースティックに近づけるべく素晴らしい改良と進化を遂げているのも確かです。
ですが、、、
できれば、どうか、お願いです。
「ピアノ」で練習できる環境を作っていただきたい、
と心から願います。